back number 2017-06(June)

人の世もかく清楚なものでありたい(17.05)

06/30 いささか食傷気味にもなりますが、またまた「政権末期の日替わりメニュー」が出てきました。萩生田光一官房副長官、稲田朋美防衛相に続き、今度も「首相側近」とか言われる下村博文・自民党幹事長代行です。
今回の「お品書き」の出所は「文春食堂」のようですが、何でもこの下村センセイ、文科大臣の頃、いま評判の加計学園から2回にわたり計200万円の献金を受け取っていながら、これを政治資金収支報告書に記載していなかったそうです。

「学園の秘書室長が取りまとめた11の個人、企業が20万円以下でパーティー券を購入したもので、加計学園からの献金ではない。記事は全く事実に反し、責任を取る立場では全くない」

と、まあ、そこまでは汗をかきかき認めたのですが、「1人20万円以下だから、それは当たらない」というわけなのでしょう。
だけど、「11の個人、企業」なんて言ったって、「100を11で割れば20以下になる」といった小学生の算数レベルの話でしかありません。
あくまでも、「11」の中身を明らかにしなければ、そして何で加計学園の秘書室長なぞがこれを取りまとめたのかについて説得的な説明ができなければ、取ってつけたような言い訳にしか受け取れないのです。
やはり、あれもこれも、関係者を国会に呼んで問い質すしかないのでしょう。
で、突然ですが、首相の取り巻きから何でこうも次々ボロが出てくるのでしょう?
先だって「報道ステーション」にコメンテーターとして出た田原総一朗さんが、「もり、かけ」問題にかかわって、「アベさんのまわりには何でこんな人ばかり集まるのか?」と喝破していましたが、すぐに零細出版人の頭に浮かんだのは、「類は友を呼ぶ」という格言でした。
そう、問題の多いオトモダチを呼び寄せた責任は、すべてアベ首相にあるということです。そう、誘蛾灯みたいに。

06/28 「信濃毎日新聞」、通称「シンマイ」は、夏休みの「学生村」の昔から、信州へ行ったときの愛読紙でした。
いつしかそれは、信州へ行く楽しみのひとつになったと言っても大袈裟ではありません。先般亡くなられた主筆・中馬清福さんのコラム「考」が読みたくて、日曜の蕎麦屋の店先にのれんが下がるのを待ったこともありました。
その「考」の後継が「斜面」のタイトルで続いていて、いまではそれをネットで読めるのが、なんともありがたいことです。
で、きのうのそれは、当方の「遠吠え」と同じく「殿、ご乱心」について書いていました(もっともこちらの方は、「ご乱心のバカ殿」でしたが…)。
信毎コラムによると、これは、細川家18代当主・護熙氏が熊本県知事や首相を唐突に辞任したとき、氏の行動を揶揄するために使われたということです。
「ならば安倍首相の発言はどうか」とコラム子は斬り返します。そう、突然の思いつきのように振り撒かれた、「獣医学部全国展開」と「改憲加速」です。
内閣支持率の急降下に取り乱し、「おもちゃ箱」をひっくり返し始めた「バカ殿」につけるクスリはもうないのかもしれません。
それでも「斜面」子は、こう締め括ります─。

「目先を変えるカードに改憲を使っているならばあまりに憲法を軽んじている。江戸時代に問題を起こした藩主の逸話をまとめた『殿、ご乱心でござる』(中山良昭著)によると本当の主役はそう叫んで暴走を止めようと奮闘した家臣という。自民党には諫言できる議員もいないのだろうか」と。

06/27 支持率急降下で尻に火のついたアベ首相が唐突に繰りだした次なる一手は、「改憲加速の目眩し術」でした─。

「来るべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に、自民党の案を提出したい」

5月3日の憲法記念日には改憲派の集会へ寄せたビデオメッセージで、突如「9条改憲」「2020年新憲法施行」をぶち上げ、「詳しくは読売新聞を」とやり、同21日にはラジオ番組で「年内に自民党案をまとめる」と言いだしました。
そして今回の「神戸『正論』懇話会」講演で、そのタイムスケジュールをさらに前倒ししたのです。このお方、毎度、勇ましく大言壮語しますが、それはいつも「仲間内の寄り合い」か「飼い馴らされたメディア」上でのこと。
いくら「学園スキャンダル隠し」が動機になっているとはいえ、あまりのご乱心ぶりには驚かされます。
そして、「神戸山口組…」じゃなかった、「『正論』懇話会」では、さらに「耳を疑うようなおまけ」が加わります。しかも、いわくつきの「獣医学部新設問題」についてです─。

「1校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果として国民的な疑念を招く一因となった(ケッ!?)…規制改革推進の立場から、速やかに全国展開を目指す。今治市に限定する必要はない。速やかに全国展開を目指したい。地域に関係なく2校でも3校でも意欲あるところは新設を認める」と。

永田町・霞が関のイエスマンたちを総動員して、あの手この手で強引に加計1校に絞り込むまでのあの努力はいったい何だったのでしょう? いえいえ、そんなことより、不足してもいない獣医ばかりをそんなに増やして、どうするのでしょう? 多額の税金を使って「ハレンチ学園の全国展開」なぞ、滅相もありません。
「ご乱心のバカ殿」には、一刻も早く退陣していただくのが一番。

06/26 「政府から、お知らせします。弾道ミサイルが、日本に落下する可能性がある場合…」

先週末から全国の民放43局で、いかにも取ってつけたように「弾道ミサイル落下時の行動」という政府広報CMが流され始めました。もちろん新聞各紙にも、「Jアラートで緊急情報が流れたら、慌てずに行動を。」との政府広報が…。
これには、CM制作費と放送料に1.4億、新聞広告料にも1.4億、ウェブ広告料に8000万と、締めて約4億円がばらまかれます。
で、その言わんとするところは、

  1)屋外スピーカーなどから国民保護サイレンと緊急情報が
    流れます。
  2)屋外では頑丈な建物や地下に避難を。
  3)近くに建物がなければ、物陰に身を隠すか、地面に伏せ
    て頭部を守る。

と、何やら「トンカラリンの隣組レベルのお触れ」です。こんなんで「ミサイル危機」なるものをやり過ごせるというのなら、そもそも「危機」なんて存在しないと白状しているも同然。
現に、4月の金日成生誕150周年記念日には、官邸はいまにも日本にミサイルが飛んでくるかの「危機」を煽る一方、当のアベ氏は「桜を見る会」に興じていたのです。
では、結局のところ何の意味があるのかといえば、想定外の支持率急降下をもたらした2つの「ハレンチ学園スキャンダル」から人々の目を逸らさせ、同時に、マスメディアに4億円からの税金をばらまくことによって、その追及の手を緩めてもらおうという浅はかな魂胆なのでしょう。
そんな無駄金をはたくのなら、日本列島にひしめく原発をすべて廃炉にすることの方がよっぽど、「ミサイル対策」には有効なのじゃないかと思うのですが。

06/23 いやー、驚いたなんてものじゃありません。いまどき、これほどのパワハラがあるなんて─。

「このハゲー!」「ちーがーうーだーろー、違うだろー!」「死ねばー。生きる価値がない…」

豊田真由子衆院議員なんて、これまで名前も知らなかったけれど、まるで「暴君」、何でこんなに偉そうに振る舞えるんでしょう? ニュースで聞いたこの女の罵声のどぎつさ、粗暴さ、品性のなさには、文字で読む以上の衝撃がありました。そこには「人格のかけら」も感じとることができません。
「逆風の都議会選挙」を控え、自民党は「離党」でお茶を濁すつもりのようですが、これはれっきとした暴力事件であり、パワハラ案件です。国会議員にしておくことすらできないはず。
でも、そんなことできるはずもありません。未公開株をめぐる金銭トラブル、不倫、暴言…と次々「不祥事」を起こしては世間を騒がせてきた「自民党当選2回組議員」問題もさることながら、目下、2つの「ハレンチ学園スキャンダル」を抱える首相以下政権や党の幹部が、疑惑にフタするために繰りだした数々のウソの辻褄合わせに汲々としている最中なのですから。
「驕る平家は久しからず」。ものごとにはやっぱり、どうにも押し止められない「末期症状」っていうのがあるのかも?

06/22 久しぶりにご登場のカゴイケさん、きのうは以前に「安倍晋三からです」と言って昭恵氏から預かった100万円を返しに、神保町の居酒屋とアベ邸を訪ねました。

「小学校の建設ができなくなり、国策捜査を受けたので、頂いた寄付を返そうと思った。返しに来ることは5日ほど前、昭恵氏にメールで伝えたが、返事はない」と。

そりゃそうでしょう。国会でも「渡した覚えがない」なんてシラを切った手前、いくら何でも受け取るわけにはゆきません。カゴイケさんは、無慈悲にも追い返されてしまいました。
「自分の身が持っていかれる前に、お返ししたいと思った」とのことですが、なかなか立派な覚悟だと思います。零細出版人としてはこのさい、「元小悪党カゴイケセンセ」に熱いエールを送りたいと思います。
19日夜、大阪地検特捜部の強制捜査が入ったとき、「何か叫ぶだろう」と思っていたカゴイケ夫人が、案の定、「アベさん、お父さんをこれ以上いじめないでー!」と叫んだ、あの言葉にも。
そもそも今回の大阪地検特捜の動きは、タイミングからしても、捜索先からしても、おかしいことだらけ。
ガサ入れにあたっての容疑も、小学校建設をめぐる補助金適正化法違反容疑と、大阪府が告訴していた幼稚園従業員などをめぐる補助金不正受給の詐欺容疑だけ。財務省近畿財務局が8億円からの値引きをしたとされる肝心の「国有地払い下げ疑惑」の方は、すっぽり抜け落ちています。
しかも、「近畿財務局の捜索をつぶし、国有地払い下げ捜査を止めた」上層部の力が働いたという見方(リテラ)があるのも、気になるところ─。

「関西ではいまも国有地問題の真相究明を求める声が強く、大阪地検特捜部の現場もそれに押されて、今回の強制捜査で、この背任容疑も加えて近畿財務局もいっしょにガサ入れしようという動きが出てきていた。直前まで準備をしていたようなんですが、地検の上層部が首を縦に振らなかったようです」(大阪地検担当記者)

06/21 くだんの「独演会」から一夜明け、さっそく「シャボン玉」はパチンパチンとはじけ始めます。
きのう文科省が「新たに見つかった」として発表した文書「10/21萩生田副長官ご発言概要」は、萩生田氏が「総理は『平成三十年四月開学』とおしりを切っていた。工期は二十四カ月でやる」と首相の意向を(ご)伝達された、と明かしています。
これはもう、「首相の威を借る官房副長官」が「怖じ気づいている」文科省を力づくで押しまくっていたことの動かぬ証拠と言えるのですが、当の萩生田氏はまたしてもこれを全面否定したうえ、こうまで書いて文科省を攻撃する始末─。

「不確かな情報を混在させて作った個人メモ」
「不正確なものが作成され、加えて、意図的に外部に流されたことについて非常に理解に苦しむとともに、強い憤りを感じております」「いったい誰が何のために作った文章なのか?」
「私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾」

しかも情けないことに、松野博一文科相と義家弘介文科副大臣が雁首揃えて、「副長官はじめ、省外の皆さんにご迷惑をおかけした」とこれに「謝罪した」のは、いったいどういうことなのでしょう?

「今後、何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしてまいります」というアベ首相の「決意表明」(?)は、やっぱり「その場しのぎの口上」(「シャボン玉」)だったのですね?
付録として、毎度おなじみ菅義偉官房長官の木で鼻をくくったような発言も添えておきましょう─。

「萩生田官房副長官からは『文書のような発言はなかった』と報告を受けている…圧力が働いたり、行政がゆがめられたことは一切ない」

06/20 昨夕、急遽もたれたアベ首相記者会見。テレビ東京のアニメ以外は、TV各局どこもこれ。同じ「役者」が同じ顔して、早口でしゃべりまくっています。
「率直な反省」だの、「真摯な説明責任」だの、「丁寧に説明する努力」だの、およそこの男には似つかわしくないフレーズが、いかにも軽く浮遊しています。如何せん、「所詮は儚いシャボン玉」のようなものですから、じきにパチンとはじけます。
えっ、何ですって? 「政策とは関係のない議論ばかりに多くの審議時間が割かれた」ですって? 「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう」ですって?
冗談言っちゃいけません。そんな議論の原因を作ったのは、あんた方「アベ一族」と「アベ一強政治」じゃないですか? しかも、ひたすらその疑惑の解明を妨げるために、あるものをないとするなど、見苦しいあがきを続けたんじゃないですか? 自分の非をすぐ他人になすりつけようとする「幼児的印象操作」は、そろそろ止めにしてはいかが?

で、視聴者が「もういい加減にしたら?」と思い始めた頃合いを見計らったわけでもないでしょうが、テレビ朝日とTBSはほどなくCMに入り、その後は別のニュースに。念のため他局も覗いてみると、NHK、日本テレビ、フジテレビは、まだ飽きがこないよう。
でも、しばらくしてまた覗くと、民放はすべて撤退、NHKの独壇場となっていました。そりゃそうですよねぇ、こんな「ウソ臭い独演会」をオビでダラダラ流していたのでは、どこかの独裁国みたいですもんね。いや待てよ、この国はもう、そんな地点に来ているのかもしれませんよ。

06/19 首相をめぐる政治スキャンダルに次々フタをし、会期末国会で「共謀罪」法案を委員会抜きのドタバタ採決…。驕り高ぶり、荒みきった「アベ1強政治」にも、ようやく綻びが目立つようになってきました。
17-18日に行われた共同通信社全国電話世論調査では、安倍内閣支持率は44.9%と、この1カ月で10.5%も急落、不支持は43.1%で、8.8%上昇したそうです。
そして、不支持の理由で最も多かったのが「首相が信頼できない」で、41.9%に上ったというのは、まったくもって象徴的。
で、けさの朝日新聞での長谷部恭男・早大教授と杉田敦・法大教授の対談は、とても興味深く読めました。そこで浮かび上がったキーワードが「マフィア化する政治」だというのには、心底共感─。

 「杉田 『1強』なのに余裕がない。これが現政権の特徴です。軽々に強硬手段に訴える。…森友学園や加計学園をめぐる疑惑と重ね合わせて考えると、政治のあり方が、一種マフィア的になっているのでは。身内や仲間内でかばい合い、外部には恫喝的に対応する。…
 長谷部 公が私によって占拠されている。濃密な人間関係で強く結ばれた集団が、官僚機構や一部マスコミも縄張りにおさめ、社会一般に対して説明責任を果たそうともしないで権力を行使するとき、公権力は私物化され、個人間の私的な絆をテコに政治が行われる。社会全体にとって何が利益かを丁寧に説明し、納得を得ることで権力は民主的な正当性を獲得しますが、現政権はそんなものは必要ない、反対するやつは切り捨てればいいと。まさにむき出しのマフィア政治です。」

06/16 永田町・霞が関界隈に巣くう徒輩の不誠実きわまりない行状や発言。そんなものを連日見聞きしてきて、「文科省の『再調査』なぞ端から期待できない」と確信していたのですが、いやはや、どうしてどうして…
問題の「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」などと書かれた文書を含む合計14文書の存在が確認されたそう。ああ、やっぱり。前文科次官の前川さんが言っていたとおり、文科省は「見つからないように探した」ってわけなのですね。
それにしても、今回の「掘り出し物の白眉」は、何と言っても、昨年11月1日に内閣府が文科省に送ったメールでしょう。そこでは、8日後の国家戦略特区諮問会議にかける獣医学部新設の原案についてやりとりされていますが、その添付文書に、「官邸主導の動かぬ証拠」がゴロンと投げ出されていたのです。
添付文書には、私ら出版業者にとっておなじみのゲラのようなものが入っていて、もとは「現在、獣医師系養成大学等のない地域において」と書かれていた原文に、手書きで施された赤字訂正指示がくっきりと浮かび上がっているのです。
赤字部分を【 】に入れて示しますと、こうです─。

「現在、【広域的に】獣医師系養成大学等の【存在し】ない地域に【限る】」と。

しかも懇切丁寧に、こんな注意書きまで付されています─。

「添付PDFの文案(手書き部分)で直すように指示がありました。─指示は藤原審議官曰く、官邸の萩生田副長官からあったようです」

ふつうの市民常識が通用する世界なら、もう逃げも隠れもできないところですが、どっこいさすがは「永田町・霞が関界隈に巣くう徒輩」のこと、萩生田氏はさっそく、これも全面否定しています。
途端に私ゃ、つれあいの素朴な疑問を思い出してしまいました─。

「アベ首相記者会見のとき、いつも脇に立っている人相の悪い人、あれは誰なの?」

そう言ゃ、時代劇の悪代官でも務まらなくもない─。しまった、これも「印象操作」か?

06/15 けさ7時46分、徹夜の末の参院本会議で、自民・公明・維新の「下駄+新旧2足の下駄の雪」が「共謀罪」法案の強行採決に及びました。
しかもこの「採決」、まだ審議途中の参院法務委員会での採決を省略し、「中間報告」の形でお茶を濁して本会議採決に持ち込むといった、議会制民主主義を根底から否定し去る、あまりに乱暴なやり方─。

「異なる意見に耳を貸さない。数の力で押し切る。国民を軽視する。くり返し指摘してきた政権の体質が、国会の最終盤に、最悪の形であらわれた」(けさの朝日新聞社説)。

この法案が参院で審議入りした5月末、アベ首相は自民党役員会で「丁寧のうえにもさらに丁寧に説明を積み重ね、今国会での確実な成立を期す」などと一見もっともらしいことを言っていましたが、よくもそんなこと言えたもんだと感心するばかり。

「共謀罪法案は何としても成立させる。だが18日までの国会会期を延長する事態になれば、森友学園や加計学園の問題で野党に追及の機会を与えることになる。とにかく早く閉会したい。強引な手法をとっても、人々はやがて忘れるだろう」(同)。

それに、1週間後に東京都議選告示を控え、公明党が委員長を務める参院法務委員会で採決を強行して混乱させては都議選に響く、といった「"下駄の雪" 持ち前の打算とご都合主義」も働いているようで、これはいよいよ許しがたい。

06/14 「加計問題の内部告発者、処分の可能性/義家副大臣が示唆」(朝日新聞)、「内部告発の職員の処分/副文科相『可能性ある』」(毎日新聞)

この記事、零細出版人には途轍もなく大きなニュースバリューがあると思えるのですが、両紙とも、その扱いはさほどではありません。
物議を醸したのは、きのうの参院農林水産委員会での義家弘介文科副大臣の答弁。「総理のご意向」文書の存在などを告発した文部科学省の内部告発者を「国家公務員法違反(守秘義務違反)」で処分する可能性を示唆したというのです─。

 森ゆうこ議員(自由党):「文科省の文書再調査は(文書の存在をあると告発した)犯人捜しのためにやっているという話も出ている。今回告発した人は公益通報者にあたると思うが、権利を守る意識はあるか?」
 義家副大臣:「文科省の現職職員が公益通報制度の対象になるには、告発の内容が具体的にどのような法令違反に該当するのか明らかにすることが必要だ」
 森議員:「『(告発者を)守る』と言えないのか。勇気を持って告発した人たちの権利を守ると言って欲しい」
 義家副大臣:「一般論として告発内容が法令違反に該当しない場合、非公知の行政運営上のプロセスを上司の許可なく外部に流出されることは、国家公務員法違反になる可能性がある」

「元ヤンキー」を売りにする副大臣ということですが、そこには「勇気のかけら」すら、まるで窺えません。これをおとなしく伝えた新聞とは違い、零細出版人ともども「お前こそ公益通報者保護法違反だ」と怒りを露にする「リテラ」は、こう吠えています─。

「前川氏には『現役のときに言え』(安倍首相)と言い、現役の職員が証言すると『実名で顔を出して言え』(松野博一文科相)と言い、『告発はマスコミにではなく私に届けろ』(義家副大臣)と言い、挙げ句は『証言したり文書を流したらどうなるかわかっているのか』と脅す。結局、現在行われている『徹底調査』とやらは、新たな告発者潰しでしかないのだ」

06/13 そんなアマゾンの「お触れ」が、この連休直前に零細出版社にも届いていたのですが、連休明けには、これに対する日販の「見解」が追い討ちをかけます─。

「今回のお申し入れのままでは、出版社の取引の選択が狭められ、対応ができない社が出ることも懸念されます」

というのです。さもありなん。真っ先に「対応できなくなりそうな」零細出版者としては、尻に火がついた格好です。
ところで、このたびアマゾンがこのように乱暴とも思える挙に出た背景には、「取次の足元を見た」こともあるかもしれません。というのは、とりわけ1980年代以降に創業の「新規出版社」の間には、取次によるさまざまな「差別取引」に苦しめられてきた版元が多いからです。
そんな中小零細版元にしてみれば、アマゾンが鼻先に突き付ける直取引の条件には、あからさまな「差別」は見えにくく、一見「好条件」と思えなくもないかもしれません。
しかし、「アマゾンのインセンティブ」に目が眩んでしまう前に、よーく心しておきたい2つのポイントを、零細出版人の歯に衣を着せぬ "恨み節"「前門のアマゾン、後門の取次」から引いておきましょう─。

「まずは、その初期の契約条件がせいぜい1〜2年限りのものでしかないこと。先方の間尺に合わなくなれば、いつでも無慈悲に破棄されることを覚悟しておかなければならない。
そして、くだんの『e託販売サービス規約』第7条には、『甲(アマゾン)は単独の裁量で、乙(出版社)のタイトルの小売価格を決定します』と、白昼堂々『再販制崩し』を宣言していることも、見逃してはなるまい。」

06/12 きょうは新聞休刊日。ということでこの欄も、いつもとは趣の違った話題とゆきましょう。
目下、わが出版界を揺るがすのは、何と言っても「アマゾンのバックオーダー発注終了」問題。と言っても、業界外の方には何のことやらさっぱりわかりません。
そこで、ごく大ざっぱな「絵解き」をいたしますと─、

アマゾン社は日本の出版物の調達を、書籍は主として日販(一部は大阪屋)から、雑誌・コミックはトーハンからというように、取次店(出版物問屋)を使い分けています。つまりアマゾンは、 "3頭立ての馬車" を操っていることになります。
うち、日販を通じた既刊書の取引には、在庫商品仕入(スタンダード発注)と、非在庫商品の取り寄せ(バックオーダー発注)とがあります。
で、たとえばリベルタの本のようにあまり動きのよくない本は、常時在庫は無駄ということで、アマゾンが受注したところで日販に「バックオーダー発注」がかけられます。そして、この方式を今月でやめてしまうという、突然の通告なのです。
では、その後はどうしたら? アマゾン社はしきりに、同社との直接取引「e託」なるものを出版社に勧めます。つまりは、「取次外し」というわけです。

06/09 「政権はうそをついている!」─といっても、これは海の向こうでの話。きのうの米上院情報特別委員会の公聴会で、先般トランプ大統領から突如解任されたコミー前連邦捜査局(FBI)長官が、自らの解任理由やFBIについて述べた証言です。
ともに「独裁的な」政治指導者を戴く日米両国ですが、こと民主主義の成熟度という点に関しては、彼の国のほうに "一日の長" があるらしい。
こちらでは、文科省次官まで務めた人が、偽証罪に問われるリスクを冒してでも「証人喚問に出てもよい」と言っているのに、何が何でもそれに応じようとはしない。多くの当事者が「本物だ」と認めている内部告発文書でも、これをいつまでも「怪文書」扱いし、一向に意に介そうとしない。
この違いは何なのか!? 深く考えこまざるをえません。

【たったいま入ったばかりの共同電(09:38)によると、「松野文科相は9日、学校法人『加計学園』(岡山市)の獣医学部新設を巡り、『総理の意向』などと記載された文書について追加調査を行う方針を固めた。世論の反発を踏まえた。政府関係者が明らかにした」そうです。圧倒的な世論の批判に堪えきれず、しぶしぶそう言わざるをえないところまで追い詰められていたということなのでしょうが、さぁて、いつまでに、どこまで本気になって「再調査」するものやら…】

ところでコミー氏は、トランプ氏の大統領就任以来、彼に会うときは「トランプ氏がいつウソをつくかわからない」ので、交わした話の内容は、いつも即座にメモしておいたそう。
日本でもこの間、政治権力者や官僚による「真っ赤なウソ」をいやというほど聞かされてきたので、コミー氏のこの習慣は、ぜひとも踏襲したいものです。

06/08 このところアノNHKの報道に「冴え」を感じることがあります。たとえば、きのうの夜のニュースの「加計ネタ」は、こうでした─。

「加計学園が計画する獣医学部をめぐり、内閣府の幹部が文部科学省に対し、『官邸の最高レベルが言っている』と述べたなどと記された一連の文書について、文部科学省は職員への聞き取りや、共有フォルダーを調べた結果、先月19日に『存在は確認できない』と発表しました。
 しかし、この直後に複数の職員が『文書は今も省内のパソコンに保管されている』と、複数の審議官以上の幹部に報告していたことがNHKの取材でわかりました。
 職員の証言によりますと、報告を受けた幹部は『わかった』と応じたということですが、文部科学省はその後も、国会などの場で『文書の存在は確認できない』という説明をしています。」

つい先だってまで、NHKの「加計学園報道」には、「及び腰」ばかりが目立ちました。たとえば、こんな具合─。

▽前川前次官のインタビューを会見以前に収録しながら、読売
 新聞の「官邸ご用達記事」が出るや、放送中止に。
▽「総理のご意向」文書も、朝日新聞報道の前に入手しながら、
 肝心の部分を「黒塗り」して報道。

そこには果敢に斬り込もうとする社会部と、これを押さえつけようとする、名にし負う「アベギンチャク記者」を擁する政治部との確執があるようですが(「リテラ」)、ここにきてさすがの政治部も、圧倒的多数の世論の動向には逆らえきれなくなった、ということなのかもしれません。

06/07 きのうの東京新聞夕刊によると、くだんのNHK報道について、松野博一文科相はこう語っているそう─。

「報道があったことは承知しているが、実際にそれが文部科学省の職員から発言があったかどうかについて確認することができないので、それを前提にした質問に答えることは差し控えたい」と。

もう「何が何でも調べたくない」ってことなのでしょう。でも、こうも言っています─。

「こういったところから出て、ということが明らかになれば、調査に関して対応をしっかり検討する」

つまり、実名を明かして顔出ししてくれれば「対応を検討」してやろうか、というわけです。どこまでも「不正の内部告発はさせまい」という不誠実な態度に終始しています。おそらくは前川喜平さんの言うとおり、文科省は「ヘビに睨まれたカエル」で、情けないことに竦みきっているのでしょう。
「官邸の最高レベル」から「劣化閣僚」の面々に至るまで、アベ政権のこの間の一連の対応を見ていて、私は昔、5歳の息子が書いた日記のフレーズを思い出してしまいました─。

 「きょうは、つまらないからつまらなかった。」

私らが戴く政府は、「印象操作だっ!」の連発で議論をシャットアウトしたうえで、「5歳児レベルの同義反復フレーズ」にしがみついている、といった格好なのかもしれません。

06/06 えっ、ナニ !? 昨夜、NHKのニュースを視ていて、思わず耳の穴をほじくってしまいました─。

「『加計学園』が計画している獣医学部をめぐり、『官邸の最高レベルが言っていること』などと記された文書は文部科学省内の複数の課の少なくとも10人以上の職員にメールで複数回、送信され、今も個人のパソコンの中などに保管されていることがNHKの取材でわかりました。」

「加計学園疑惑」が公になってから、どうにも煮え切らない報道ぶりが目に付いたアノNHKが、ついに本気になって追及し始めたのでしょうか?

「職員の1人は『専門教育課が大臣の説明資料として作成したもので、私も文書を持っている』と話しています。
 これまで文部科学省は文書について職員に聞き取ったほか、共有フォルダーなどを調べた結果、『文書の存在は確認できなかった』と発表し、個人のパソコンについては今後も調べるつもりはないと述べていました」とも。

何せ世論調査では、この問題での政府の説明に「納得できる」人はたったの16%、「納得できない」人は72%にも及びます(JNN)。視聴者・国民のほとんどは、ナントカの一つ覚えの「印象操作」に惑わされなくたって、「王様は裸」に気づいているということ。
だからNHKだって、いつまでも「裸の王様」の行列のお供をしているわけにもゆかなくなったのでしょう。

06/05 「安倍首相にもっとも近い」ジャーナリストが女性のフリージャーナリストをレイプした、とかいう事件。「あまり興味本位に扱うのも…」と、いくぶん腰が引けていたのですが、ついにこの2日、衆院本会議でも取り上げられるなど、事件をめぐって次々明らかにされる飛んでもない事実に、無関心ではいられなくなりました。
くだんの「ジャーナリスト」は、元TBSワシントン支局長で、『総理』『暗闘』(幻冬舎)など、「官邸のスポークスマン」のような著作で知られる山口敬之氏。この人物が2015年3月、意識を失っている女性ジャーナリストに性暴力を働いたというのです。
女性が訴え出て、準強姦罪で逮捕状が出るのですが、執行直前に警察上層部から「待った」がかかり、山口氏は逮捕を免れたばかりか、再捜査でも不起訴になったという「いかにもクサイ事件」
しかも、話はそこで終わりません─。
「山口逮捕」にストップをかけたのは、当時警視庁刑事部長だった中村格氏と見られているのですが、このお方、第二次安倍内閣発足時に菅義偉官房長官の秘書官として、菅氏から厚い信頼を得ていたことで知られます。
そして、話はますますクサイところへ─。
「I am not ABE」で『報道ステーション』のコメンテーターを外された元経産官僚・古賀茂明氏が近著『日本中枢の狂謀』(講談社)の中で、問題の番組放送中に官邸から電話やメイルで猛烈な抗議を寄せてきた「菅官房長官の秘書官」とは、この中村格氏であったと暴露しているのです。
となると、一連の事件は1本の線で繋がってきます。ひょっとしてそこには、「森友学園スキャンダル」にも、「加計学園スキャンダル」にも繋がる、「権力の横車」を押し、「不都合な真実」を隠蔽しようとする「権力の巨大な力学」が働いている、ということなのかもしれません。
そんなふうに考えていると、また「印象操作だっ!」なんて恫喝されかねませんがね。

06/02 昨夜の「報道ステーション」の「加計学園問題…前川前次官に単独取材」。富川キャスターのインタビューを受ける前川さんの受け答えは、実に誠実かつ堂々たるものでした。
なかでも零細出版人の関心を引きつけたいくつかの論点─。

▽「政治主導」と「官邸主導」
 小泉政権時は「総理指示」は明確に言われたが、それに対して明確に反対することもできた。しかし、「報復人事」のようなものはなかった。現在は、「指示」があいまいな形で伝わってくる。意思決定が踏むべきステップを踏んでいない。

▽「情報公開」と「守秘義務」
 国民のコントロールの及ばない権力はダメ。それには国民が知っている必要がある。それを知らせるのはメディアの役割。よく公務員の「守秘義務」が言われるが、そもそも「秘」にしてはいけないものを「秘」にしてしまうことこそが問題。

▽「文科省文書」
 文科省は問題の文書は「確認できなかった」と言っているのであって、「なかった」とは言っていない。おそらく「確認できないような探し方」をしたのだろうが、それは「ウソ」とはならないギリギリの説明。

▽「表現の自由」
 私の座右の銘は「面従腹背」。これは役人の心得として必要なもの。官僚を辞めたいまは「面従」は不要になったので、「面背腹背」。「表現の自由を100%享受できる喜び」は大変なもの。

いやー、すっかり圧倒されてしまいました。「ウソやごまかし」で汚濁しきった永田町・霞が関界隈にも、これほどの人格者が潜んでいたっていうことです。

06/01 ウソやごまかしが蔓延する昨今のこの国の政治世界。「もう、不誠実な物言いは聞きたくもない」と思っていたところ、久しぶりに「爽やかな良識の声」を聞くことができ、胸の空く思いがいたしました。
元自民党総裁で衆院議長も務めたことのある河野洋平さんが、憲法記念日に突如「9条改憲」を言いだした安倍首相に対し、真っ向から批判を浴びせています─。

 「突如としてああいうこと(9条改正)をおっしゃる安倍さんの言い方に、私はまったく驚いている。理解のしようもない。私は9条はさわるべきではないと思う。…
 憲法は現実に合わせて変えていくのではなくて、現実を憲法に合わせる努力をまずしてみることが先ではないか。『事実上はこうだから憲法をこう変えましょう』と、憲法が現実を後から追っかけて歩いているなんて、憲法にはひとかけらも理想がないのかと言いたくなる。憲法には一つの国家の理想がこめられていなければならない。
 しかも、安倍政権のもとで憲法問題をやるなんて、あり得ないことだ。おそらく最近の日本の政治の中で、もっともこれまでの方向と違う方向をさしている政治の中で憲法を変えるということは、日本の歴代内閣がやってきた方向ではない。安倍(政権)という不思議な政権ができて、その人が指さす方向に憲法を変えていくなんて、私は到底納得できない。それに費やす政治的エネルギーは、他にもっと使わなければならないことがたくさんある。憲法(改正)について、私は同意できない。」(asahi .com